本文へスキップ

第一期 活動報告

第一期竹内好を記録する会 -会活動内容-



竹内好を記録する会(第一期) 2009~2011

三年間の活動記録とその成果-この記録は2011年11月3日の「締めの会」配布資料を若干修正したものです。―

《はじめに》
 期間限定の「竹内好を記録する会」が期限である満三年をむかえようとしています。このメモで三年間の活動を振り返ってみたいと思います。はじめからきっちりした方針があったわけでなく、また竹内さんに関する情報も会員各人の蓄積にばらつきがありました。一年目は右往左往しながら、二年目は「生誕百年記念行事」に向かってやみくもに進み、三年目は情報の蓄積に厚みをつけてきた、というのが事務局としての判定ですが、会員のみなさまはいかがでしょうか。

 ここでは、三年間を振り返り、達成できたこと、すなわち成果をまとめてみます。分量が多いため、詳細は一年目、二年目、(三年目)の「活動報告」を参照願います。

【「竹内好」の現状をこう認識する】
 竹内好は、没後三十余年を経たいまも、その思想が語られ、その翻訳が読まれ、そしてその行動について語られ続けている。しかし、それらのなかで容易に入手できるものは限られている。

 そのように多くの論者によって、竹内さんとのエピソードが語られているが、事実に反する記載をされたものでそのままになっているものがあり、放置できないと考える。
 
【「記録をする会」のやってきたこと】
 「現状」を憂うる竹内好の長女裕子さんの訴えに共感した元中国の会、魯迅友の会の会員が中心となって「竹内好を記録する会」を結成した。「現状」を踏まえて、期間限定の三年間、ひたすら情報の収集に努めた。また、竹内好関連の情報発信を行った。

【手前味噌ながら、祝電?をご披露します】
とても実りの豊な活動をなされて来まして、竹内像を生き生きとしただけではなく、研究者にとって示唆の(に)富む刺激を与えてくれました。心から深い御礼を申し上げたいと思います。(孫歌さん)

2008年の冬、「竹内好を記録する会」が創立される場面に接した経験は、私にとって重要な事件でした。その日の以来に、国籍に拘らない世代感覚に関して考えてきました。「竹内好を記録する会」が解散しても、私は皆さまのご活動を継承し、私なりに竹内好を記録していきます。皆さまの次の世代になるために努力します。(尹汝一さん)

実りある締めくくりとなるよう願っています。(松井博光さん)

《活動の記録1 『全集』「年譜」の訂正》
 この会の活動にあたって、飯倉照平さんから「解題」「著作目録」について、故久米旺生さんから「年譜」について、それぞれその利用許諾をいただきました。深く感謝申し上げます。

「年譜」に関しては、久米さんと都築さんから以下のご指摘がありました。
(久米さんからのご指摘)
1975(昭和50)年8月8日 神戸へ。兵庫部落解放同盟研究集会に来賓としてあいさつ。→「兵庫解放教育研究会」が正しい。(雑誌『ちくま』1982年12月号に訂正を掲載)
(都築令子さんからのご指摘)
1952(昭和27)年1月 これまで日本文学協会に依嘱されてきた『文学』が編集委員制となり、その1人に加わる(1957年2月まで)。→これまで日本文学協会に依嘱されてきた『文学』が岩波書店に戻り、編集委員制となり、その1人に加わり、毎月1回の編集会に出席(1957年2月号まで)。



《活動の記録2 作品の収集》
【竹内好全集未収録作品の収集】
1)「全集著作目録」に掲載された全集未収録作品で、収集ができていないものは以下の6作品のみ。
1-01 1943年 6月(表題未詳)(三田新聞528号、10日、未確認)三田新聞会
1-02 1952年 5月30日 世界文学の展望「中国」 産経新聞(佐々木基一と共同執筆)
1-03 1953年 1月 座談会、国民文学について 竹内好・石母田正・岩上順一・小場瀬卓三・新島繁ほか 芸術研究13号
1-04 1955年 10月 講演、文化運動について 前進のために――全農林労働講座 全農林省労働組合
1-05 1960年 6月20日 座談会、日本デモクラシ―の定着へ 竹内好・神川信彦・塩田庄兵衛 都立大学新聞
1-06 1963年 6月 談話、〈三年目の安保〉天皇制思想への抵抗 都立大学新聞198号

2)「『全集』著作目録」に掲載されなかった作品の収集
(飯倉さんからのご指摘)
2-01 1949年12月 人間のいる学問 世界の歴史第3巻東洋(はさみこみ)「世界の歴史回報」第4集 毎日新聞社
2-02 1952年2月24日 談話、中国文学の翻訳に批判の余地がある 朝日新聞西部版 朝日新聞社
2-03 1955年3月 文学学習の手引【署名は竹内好だが、今村与志雄執筆】 岩波講座文学の創造と鑑賞第5巻文学の学習と教育 岩波書店(269~278ペ―ジ)
2-04 1971年1月 座談会、魑魅魍魎の声<覆面座談会>(「形」が竹内か。確証なし。) 中国86号 徳間書店
2-05 1987年10月 竹内好の手紙 付=未完の日記から―12月8日前後 『辺境』第3次5号(1987.10) 記録社発行、影書房発売
(石坂さんの発見)
2-06 竹内好「アジアの近代化」(思想の科学研究会編『人間科学の事典』所収 河出書房、1951年刊)
(河野さんの発見)
2-07 竹内好「ブックガイド 新しい文学創造の糧 民科芸術部会編『国民文学論』」 『教育評論』第2巻第6号1953年7月掲載 日本教職員組合教育文化部発行
 このほかにも見つかっている。現在整理中につき、後日開示いたします。

【竹内好について記載されている文章(竹内好かく語られ記)の収集】
 詳細は省くが、およそ2000の文章を収集した。さらに現在も収集を継続している。



《活動の記録3 インタビュー》
【外国人研究者のインタビュー】
1.韓国人研究者ユン・ヨイルさんとの懇談会 2008.12.29(記録なし)
2.中国人研究者胡冬竹さんに聞く 2009.02.14(記録あり)
   附.胡冬竹「自己の内なるアジアへと回帰する方法」日本語訳配信
3.中国人研究者孫歌さんとの懇談会 2010.06.02(記録なし)

【竹内さんと交流のあった方々へのインタビュー】(すべて記録あり)
1.大須賀瑞夫さん(毎日新聞、中国の会)2009.04.12 
2.中島義勝さん、都築令子さん(岩波書店)2009.05.31 
3.金子勝昭さん、野田祐次さん、安田つたゑさん、重永博道さん、田辺貞夫さん、木村聖哉さん(サロン火曜会、『山脈』)2009.07.12
4.田辺貞夫さん(普通社、勁草書房)2009.09.05
5.松井博光さん(都立大中文)2009.09.12
6.井出孫六さん(中央公論社/長野県臼田町出身)2009.11.28
7.立間祥介さん、檜山久雄さん(『北斗』) 2010.04.18
8.今井清一さん、楊子さんご夫妻(中国の会) 2010.05.15
9.中村輝子さん(共同通信社)2010.12.05、2011.01.29
10.野村浩一さん(中国の会)、丸山松幸さん(都立大中文) 2011.10.08
11.丸山松幸さん、守屋洋さん、岸陽子さん、市川宏さん(柿の会)2011.11.26



《活動の記録4 ホームページ》
http://takeuchiyoshimi.holy.jp/

【コンテンツ】
「竹内好の軌跡」(『全集』年譜の転載)

「中国の会 月例研究会などの記録」

「魯迅友の会小史」

「竹内好かく語られ記」(敬称略)
安田武   竹内好のその好き嫌い
重永博道  竹内好さんのこと たった一通の葉書    
木村聖哉  竹内好さんのこと 片思いの記-私の中の竹内さん-
金子勝昭  竹内さんが言わなかったこと
田辺貞夫  熱っぽい著者の息吹―竹内好著『中国を知るために』(全三冊)―
中島岑夫  ①古田さん、竹内さん ②まとまらない思い
岡山猛   思い出すまま    
斎藤秋男  回想・戦地体験    
丸山真男  好(ハオ)さんとのつきあい    
丸山真男氏に聞く 竹内日記を読む 聞き手・『ちくま』編集部
野村玉江  私信親展    
鶴見和子  ①竹内好氏から「火を盗め」るか ②追悼竹内好 遠くにあっておもう
久野収    竹内好への弔辞
鶴見良行  東南アジアで竹内さんを想う
武田泰淳  竹内好の孤独
近藤裕   都立大・中文に学んだ頃(予)
夏目久夫  臼田にて 竹内好「ふるさと」考(予)
松本みどり 「好さんとのつきあい」掲載のいきさつ(予)

「特別掲載 孫歌さんの講演 竹内好に学ぶこと」

「竹内好 民主か独裁か 全文掲載」

「本多裕子 父の思い出」
1. ながーい ながーい おはなし
2. 父のことばをひろって ―第1回―
3. 父のことばをひろって ―第2回-
4. 洪水 ―大雨の記憶―
5. クリームソーダ ―くいしんぼの記憶―
6. 父の10月 ―記憶をかさねて その1―
7. 10月18日 ―記憶をかさねて その2―
8. 四十年 ―記憶をかさねて その3―
9. 五年 ―記憶をかさねて その4―
10. 紙魚 ―晩秋のアルバイト―
11. 田北誠一さんへ ― 一歩でも前へ出るために 父のてがみ―
12. ねぎごと ―2010年 年神さまに―
13. 東を向いて ―火と道の記憶 その1―
14. 火事 ―火と道の記憶 その2―
15. どうやって ―火と道の記憶 その3―
16. スキーとヒヤシンス ―冬のしたく 雪の時間―
17. スキーとヒヤシンス ―雪の時間 冬のおわり―
18. 2010年のおわりに ―父と母とおれいにかえて―
19. 青空のピラカンサ ―吉祥寺の庭―
20. 関東ローム層 ―冬の風―
21. 姿に学ぶ ―三年を終えて―


《活動の記録5 イベント》
【生誕百年の集い】2010.10.02
<プログラム>
スライドによる竹内好の軌跡 (朗読 さとう一声)
竹内好からのメッセージ (朗読 左右田一平)
座談会 編集者がみた竹内好 (司会 木村聖哉)
都築令子、野田祐次、金子勝昭、田辺貞夫
百歳の竹内好への手紙 (朗読 左右田一平、さとう一声)
夏目久夫、川俣優、孫歌、薛毅、斉藤善行、鶴見俊輔、森崎和江、サヴィットリ・ヴィシュワナタン、野添憲治、尹汝一、林ふみ子、山田晴子、陳光興、奈良陽二、木村聖哉、本多裕子
父の思い出 本多裕子
<小冊子>
(p1)プログラム「竹内好への手紙・生誕百年の集い」
(p2)生誕百年の集い次第
(p3)竹内好への手紙・小冊子について
(p4)「竹内好 かく語られ記」ホームページ掲載の予告
(p5~)<竹内好著作目録> 4ページ/<竹内好年譜マトリックス> 9ページ/<百歳の竹内好への手紙> 38ページ
 <百歳の竹内好への手紙>の執筆者一覧
001 峯島正行 尾崎兄弟と竹内先生/002 油藤義和 『フェアプレイは見合わすべし』/003 林ふみ子 竹内先生との約束/004 斉藤善行 その後の自分/005 陳光興 竹内好的問題意識2010/006 孫歌 生活態度としての竹内好/007 薛毅 閲読竹内好(竹内好を読む)/008 森崎和江 表題なし/009 片倉哲次郎 無題/010 鶴見俊輔 百歳の竹内好さんへ/011 川俣優 竹内さんと白金/012 野添憲治 秋田での竹内好さん/013 サヴィットリ・ヴィシュワナタン 竹内好への手紙/014 浜田裕光 表題なし/015 本多夏実 じったんへ/016 玉井五一 竹内好鑽仰/017 夏目久夫 百歳の竹内好さんへ/018 山田晴子 竹内好さま/019 中村剛 「竹内好を記録する会」と私/020 鈴木将久 表題なし/021 本多方実 じったんへ/022 本多裕子 お父さんへ/023 丸川哲史 竹内好さまへ/024 奈良陽二 竹内中国語教室-断片的記憶/025 尹汝一 竹内好の読者/026 田村紀雄 雑誌『中国』への寄稿の中で考えたこと、日中は「異文異種」/027 今里禎 表題なし/028 木村聖哉 あれから50年/029 竹内聡子 竹内好への手紙/030 杉隆一 1977年3月2日の日記/031 田辺貞夫 表題なし/032 仲里効 極私的な時の刻み音から/033 池上正治 ご無沙汰しています/034 永澄憲史 竹内好の思い出/035 近藤裕 表題なし/036 ザイフェルト 竹内好との出会い/037 中村渠政彦 百歳の竹内好への手紙を出せなかったことへのお詫び/038 野村玉江 レクイエム―埴谷雄高へ(『詩集 宇宙からの青い手紙』所収)

《活動の記録6 情報の発信》
【情報の発信】
 詳細は省くが、さまざまな情報を添付した「会員専用メール」を、2011年11月13日現在、第63号まで267回のEメールを配信した。

2011年11月3日 文責 斉藤善行
2011年12月30日 修正
竹内好を記録する会事務局 


ナビゲーション