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父の思い出

父のことばをひろって-第2回-


 

父のことばをひろって-第2回-

「答案用紙」 -まるを確かめるー

わたしは生来根気がなくて、辛抱も苦手です。これは、学校生活ではとても困ることでした。特に、学習においては、惨たんたるものでした。今もそれは尾を引いていて、悲しくなります。

学校

テストの後、答案用紙をもらって帰ってくるたびに、母のカミナリが落ちました。「パパに見せてきなさい!」

しおしおと書斎の父に見せにいきます。すると父は、その答案用紙をじっとみるのです。上から下に。右から左へ。父の眼が、ゆっくりと移動します。

答案用紙をていねいに追う父を見ながら、わたしはありったけの言いわけを考えます。

やがて答案用紙から眼を離した父が、思案しているわたしを見つめて、静かにいいました。

×は悲しいが、も本当にそうなのか、 確かめる必要がある。」


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