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父の思い出

父の10月 -記憶をかさねて その1-


 

父の10月 -記憶をかさねて その1-

10月のカレンダーの日付に、毎年書きこむ日があります。

10月1日 伸一郎兄  2日 好父 お誕生日 幼いころからずっと、10月初めのこの二日間はとても大切な日です。

10月5日 武田泰淳さんのご命日 深夜に知らせを受け、飛び出していった父と母を見送って、ひんやりとした部屋に座り込んでいると、
突然、地響きとともに雷鳴がとどろきました。

一度だけ。雨も降らず、一度っきりの大雷鳴でした。それきり外は無音のまま、夜が明けました。

10月12日 浅沼稲次郎さんのご命日 居間でくつろいでいると、母が真っ青になって部屋に飛び込んできました。わたしには目もくれず、必死にどこかに連絡をとっています。ただならぬ気配に、わたしは身を固くしました。その日、父は家にいませんでした。

しばらくして、父は浅沼稲次郎さんの墓所を訪ねています。わたしもいっしょでした。墓所の前に父は長い時間立っていました。


カレンダーに書きこまないけれど、とても大切な日 10月18日

1976年のこの日 2008年のこの日 そして1969年のこの日。

父はこういう符合や、ゲンをかつぐことはきらいでした。たまたまの結果にすぎない、きっとそう言うでしょう。でもフツーの女の子だったわたしは、幼いころには帰り道にクツをほうりあげて、明日の天気を占いました。もう少し大きくなると、花びらを一枚ずつむしって、あこがれの人が「来る」「来ない」と占いました。

この色を着ていくとうまくいく、とか、何番目の席がラッキーとか、数字や曜日にもこだわりました。根拠もないし、結果もついては来ないのですが、今もそのクセはぬけなくて、10月18日はやっぱりとても大切な日なのです。

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